2024年09月20日
こんにちは、楠木です。
ふと気づいたら9月も中旬でした。
8月は毎年講演が少ない月です。
対象となるドクター皆さんも夏休みを交代でとる時期だからです。
それでも数件ありまして、主に漢方のセミナーと双極症に関するものでした。
漢方のセミナーは師匠の千福先生が講演と漢方の腹診指導を行うもので、兄弟子にあたる福原先生と私は腹診の講師として登壇しました。
千福先生のご講演は毎回進化していまして大変勉強と刺激になります。
双極症関連の講演は台風のため1件延期になっていささか残念でしたが、これは仕方ないですね。
少し先になったので千福先生に倣って内容を深めようと思います。
それでは、8月の講演会についてでした。
2024年08月23日
こんにちは、楠木です。
本日は、少し前に双極症のエビリファイ持続性注射剤(ALAI)資材監修の記事で触れた、当院の研究データについてお伝えします。
これは、2023年11月の最新精神医学という医学雑誌で発表した論文で、クリニックではあまり導入が進んでいない双極症に対するALAIの臨床データを解析したものです。
本調査では、ALAI導入前後1年間の再発回数や病相期間を比較しています(N=11)。
結果としては、躁病エピソードの平均再発回数と期間は有意に減少し、うつ病エピソードも平均再発回数や平均病相期間が低下傾向を示しました。そして正常気分でいられる期間が長くなっています。
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また気分安定薬の使用を減らせる可能性も示されています。
簡単にまとめると、ALAI導入後は躁・うつどちらも含めて経過が安定して内服薬を減らせる傾向がわかりました。
双極症は治療が難しい疾患であるため少しでも治療成功率を高めるためにデータの蓄積が必要な分野です。
現在も追加データを加えた論文を執筆中です。今後の双極症治療に何らか貢献できればと思います。
2024年07月10日
こんにちは、楠木です。
本日は、大塚製薬の依頼で監修した医師向けのエビリファイ持続性注射剤(ALAI)パンフレットを紹介します。
2年前にブログを中断する前にアップした記事もALAIの講演会についてでしたね。
ALAIは2023年3月に改訂された日本うつ病学会の双極症ガイドラインにおいて、維持期治療の単剤治療に推奨されています。
当院で導入した方の手応えは良好で、何とか双極症を良くしたいという患者さんの期待に応えてくれることが多いです。
一方、まだ精神科医にも十分認知されておらず、患者さんに至っては1%ほどしか知らないという研究データがあります。
そのため、この治療については私が仁愛診療所で導入した患者さんのデータをまとめるだけでも社会的な意味があると思い、2023年11月に最新精神医学に論文を発表しました(内容は別記事にまとめます)。
その内容を含めた医師向け講演会を大塚製薬から多く引き受けていたところ、医師向け資材の監修を行うことになりました。
各ページごとに監修医のコメントを寄せています。
この治療の良さや必要性を伝えるために必要なコメントを考えたつもりです。
また、当院の臨床データも載っています。
今後、ALAIが適切に周知されることを期待します。